「POSレジを新しくしたいけれど数十万円の出費はきつい」「モバイルオーダーやセルフ券売機で人手不足を解消したいが、初期費用が心配」——飲食店を経営していると、デジタル化の必要性は感じつつもコストの壁にぶつかりがちです。実は、その導入費用の多くは国の「デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)」でカバーできる可能性があります。この記事では、飲食店がこの補助金をどう使えばいいのかを、対象ツール・金額・申請の流れまでわかりやすく解説します。
💡 この記事でわかること
- 飲食店がデジタル化・AI導入補助金2026の対象になるか
- POSレジ・モバイルオーダー・予約システムで使える申請枠と補助率・上限額
- 飲食店が申請するときの流れと、つまずきやすい注意点
結論:飲食店もデジタル化・AI導入補助金の対象です
結論からお伝えすると、中小企業・小規模事業者に該当する飲食店は、デジタル化・AI導入補助金2026(旧:IT導入補助金)の対象です。2026年度から事業名称が「中小企業デジタル化・AI導入支援事業」へと変わり、補助金の通称も「デジタル化・AI導入補助金2026」となりましたが、飲食店が活用できる点は変わっていません。クラウドPOSレジ、モバイルオーダー、セルフ券売機、予約・顧客管理システムなど、店舗のデジタル化に役立つITツールの導入費用の一部が補助されます。
ただし、補助の対象になるのは事務局に「ITツール」として登録され、登録IT導入支援事業者(ベンダー)が取り扱う製品・プランに限られます。同じサービスでも対象プランと対象外プランがあるため、導入したい製品が対象かどうかは公式サイトの「ITツール検索」で必ず確認してください。
飲食店が狙う2つの申請枠(インボイス枠・通常枠)
飲食店のデジタル化では、導入したいツールによって使うべき申請枠が変わります。ポイントは「ハードウェア(機器本体)まで補助したいかどうか」です。
💡 ポイント
タブレットや券売機などのハードウェアまで補助対象にできるのは「インボイス枠(インボイス対応類型)」です。POSレジを丸ごと刷新したい飲食店は、まずインボイス枠を検討しましょう。一方、モバイルオーダーや予約管理などの業務効率化ソフトが中心なら「通常枠」が適しています。
| インボイス枠 | 通常枠 | |
|---|---|---|
| 向いている用途 | POSレジ・券売機など ハード込みの刷新 |
モバイルオーダー・予約 などソフト中心 |
| ソフト補助上限 | 最大350万円 | 最大450万円 |
| ハード補助 | PC・タブレット等 最大10万円 レジ・券売機等 最大20万円 |
対象外 |
| 補助率 | ソフト:50万円以下3/4 (小規模4/5)・50万円超2/3 ハード:1/2 |
1/2以内 (要件で2/3・ 小規模最大4/5) |
読者
うちは席数20席の小さな居酒屋なんだけど、こんな個人経営の店でも本当に申請できるの?
専門家
はい、申請できます。飲食店はサービス業として中小企業の基準(資本金5,000万円以下 または 従業員100人以下)に当てはまり、個人経営の店も「小規模事業者」として対象です。むしろ小規模事業者は補助率が手厚くなるので、小さなお店ほど活用メリットが大きいんですよ。
デジタル化・AI導入補助金とは?基本情報
デジタル化・AI導入補助金は、中小企業・小規模事業者が自社の課題に合ったITツールを導入する経費の一部を、国(中小企業庁)が補助する制度です。労働生産性の向上やDX推進が目的で、人手不足が深刻な飲食業のデジタル化はまさにこの趣旨に合致します。2026年度は主に次の申請枠が設けられています。
- 通常枠:業務効率化・デジタル化を目的としたITツール全般(モバイルオーダー・予約管理等)
- インボイス枠(インボイス対応類型):インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフト+ハードウェア(POSレジ等)
- セキュリティ対策推進枠:サイバーセキュリティ対策サービス
- 複数者連携デジタル化・AI導入枠:複数事業者が連携して取り組む類型
飲食店で補助対象になりやすいツール例
| ツール種別 | 解決できる課題 |
|---|---|
| クラウドPOSレジ | 会計・売上分析の効率化、インボイス対応 |
| モバイルオーダー・セルフ注文 | 注文受け・配膳の省人化、回転率向上 |
| セルフ券売機・キャッシュレス決済 | レジ締めの時短、会計ミス削減 |
| 予約・顧客管理(CRM) | 予約の一元管理、再来店促進 |
| 在庫・原価管理システム | 食材ロス削減、原価高騰対策 |
※いずれも「事務局に登録されたITツール」であることが条件です。製品名だけで対象と判断せず、必ず公式の「ITツール検索」で確認してください。
補助額のイメージ(インボイス枠)
飲食店がPOSレジ刷新で使うことの多いインボイス枠の代表的な補助内容です。
ソフト補助上限
350万円
補助率(50万円以下)
最大4/5
レジ・券売機等
20万円
※ソフトは50万円以下の部分が補助率3/4(小規模事業者は4/5)、50万円超の部分が2/3。ハードウェア(PC・タブレット等は最大10万円、レジ・券売機等は最大20万円)の補助率は1/2です。
読者
「最大350万円」って聞くと、うちみたいな小さな店には縁がない金額に思えるんだけど…
専門家
「最大」は上限額なので、満額を狙う必要はありません。たとえば40万円のクラウドPOSを導入する小規模事業者なら、補助率4/5で最大32万円が補助される計算です。小さな投資でもしっかり効く制度なので、規模に関係なく検討する価値がありますよ。
飲食店が申請するまでの流れ
gBizIDプライムの取得
申請に必須のアカウント。発行に時間がかかるため最優先で準備します。
「みらデジ」経営チェック
申請の前提となる事前準備を行います。
支援事業者・対象ツールの選定
導入したいPOSレジ等を扱う登録IT導入支援事業者を選びます。
交付申請
支援事業者と共同で、申請マイページから手続きします。
交付決定 → 契約・導入・支払い
必ず交付決定の通知を受けてから契約・発注します。
事業実績報告
導入完了後、領収書等を添えて報告すると補助金が交付されます。
⚠️ 注意
交付決定の前に契約・発注・支払いをした経費は補助対象外になります。「展示会で気に入ってその場で発注してしまった」という失敗が飲食店でも非常に多いため、必ず交付決定後に動きましょう。また「必ず採択される」と謳う業者には注意してください。
読者
日々の営業で忙しくて、申請書類なんて自分で作れる気がしないんだけど…
専門家
この補助金は、登録IT導入支援事業者(ツールを売るベンダー)と共同で申請する仕組みです。つまり、ツール選びの段階で相談すれば、申請の多くをベンダーがサポートしてくれます。まずはgBizIDプライムの取得だけ先に進めておけば、忙しい店主でも無理なく進められますよ。
よくある質問(FAQ)
厨房機器や店舗の改装費にも使えますか?
この補助金はITツール(ソフトウェア)とそれに付随するハードウェアが対象のため、厨房機器や内装工事などの費用は対象外です。厨房・改装は別の補助金(小規模事業者持続化補助金など)が候補になります。
クラウドPOSの月額利用料も補助されますか?
通常枠ではクラウドサービスの利用料が最大2年分まで補助対象になります。初期費用だけでなくランニングコストの一部もカバーできるのは大きなメリットです。対象範囲は枠や年度の要件で変わるため、最新の公募要領で確認しましょう。
✅ この記事のまとめ
- 中小企業・小規模事業者に該当する飲食店は、デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)の対象
- POSレジや券売機などハード込みで刷新するなら「インボイス枠」、モバイルオーダー等のソフト中心なら「通常枠」
- インボイス枠はソフト最大350万円(50万円以下は補助率3/4・小規模4/5)、ハードはレジ・券売機等が最大20万円(補助率1/2)
- 対象は登録ツールに限られ、交付決定前の契約・支払いは補助対象外になるため要注意
※ 申請期限・補助額・対象ツールは公式サイトで必ずご確認ください
参考・出典